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読書会 2023年4月22日

SF・ミステリー・ホラーのジャンルに特化した読書会を開催しました。これらのジャンルを一括りにするのは難しいですが、エンターテインメント性を重視した読書会です。

今回は、RENSの読書会に初めて参加された方が2名いらっしゃいましたが、開始前から盛り上がっていた様子でした。私はバックヤードで準備をしていたのですが、彼らの楽しい会話が聞こえてきて、期待感が高まりました。

集まった小説も、バラエティに富んでいましたので紹介します。


三体 / 劉 慈欣(早川書房)

■宇宙の果てまで続くリアルな物語、究極のエンターテインメントを体感したいあなたにおすすめの1冊

父を文化大革命で亡くし、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔。彼女が宇宙に向けて秘密裏に発信した電波は、惑星〈三体〉の異星人に届き、地球を揺るがす大災厄を招くことに……! 中国で社会現象となったアジア最大級のSF小説、ついに登場!

引用元:(版元ドットコム)より

RENSの読書会でも課題本として取り上げた『三体』です。
この小説本当にとてつもない世界観で読んだ人は必ずハマること間違いありません。

■興味深い質問

「これまでの読書人生の中でベスト何位ですか?」
「筋だけなら1位2位です。驚くべきことにデュマの『モンテクリスト伯』を超えてきました!」

読書会開始前から『三体』の話が展開されていました。紹介された方の熱量はほかの参加者にも伝播して、そのまま読書会がスタートしたほどです。

とにかく『三体』の設定、プロット、ストーリーライン、どれをとっても極めて優れています。『三体』を読むまでは『モンテクリスト伯』がその地位だったようですが、それと同等かそれ以上だと語っていました。

■参加者が盛り上がったところ

「物語の細部においても矛盾がない。今まさに起きてもおかしくないほどのリアリティ」

小説を読んでいると、一番がっかりするのは、論理的なつじつまが合わなかったり、現実感がないと感じることです。フィクションであっても、読者が現実感を持てないと、物語に共感することが難しくなります。

しかし、この『三体』は物語に没頭できるように、ストーリーを緻密に構成し、登場人物の行動や感情、設定、物理の理論、すべてに説得力があります。

「最初から詰んでる」
リアリティから生まれる絶望感がもう半端ないとのことでした。

■この本をより楽しめる情報

三体シリーズの累計発行部数は2,100万部を突破し、全世界を巻き込んでの中国最大のSF小説。小説界隈だけではなく、オバマ氏やザッカーバーグ氏も絶賛。

読書会の中では、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P.ホ−ガン『幼年期の終り』アーサー C.クラーク『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディー・ウィアー『火の鳥』手塚治虫、といった作品も話題にあがりました。


東京伝説―狂える街の怖い話 / 平山 夢明 (竹書房文庫)

■リアリティある恐怖の物語をいくつも堪能したいあなたにおすすめの1冊

何かが狂っている。どこかが壊れている。怨み、妬み、狂気、執着…。平和なはずの日常にぽっかり空いたマンホールのごとき落とし穴。それらはすべて人の心の欲が生みだした闇である。その罠に運悪く落ちてしまった人々がいる。彼らの見た恐怖は、もはや霊を遙かに超えていた。まさに人間地獄。現実は虚構を超え、人は霊を凌駕した。いまこの世でもっとも怖いのは、あなたの隣のその人なのかもしれない…。『「超」怖い話』の著者が放つ最先端のリアルホラー。

 引用:「BOOK」データベースより

興味深い質問

「一番好きな話はなんですか?」

『東京伝説』(竹書房文庫)は短編集なのでその中でのおすすめを聞きました。
『イマーゴ』でした。

”イマーゴ”という語感もかなり不気味な言葉。
ドラッグの話です。著者はインタビュアーやルポの経験があり、この話もリアリティがあって短いながらに背筋の凍るような鋭さが読者を襲います。

『イマーゴ』のざっくりとしたあらすじを紹介してくれました。短い話の中に濃ゆい恐怖が詰まっていました。

■参加者が盛り上がったところ

「恐怖を突き詰めていくと、悲しみがある」

これは紹介された方の独自の感覚のようですが、参加者も恐怖やホラー小説についてあらためて考えてみました。なるほど、たしかに恐怖の中には”悲しみがある”のかもしれません。

さらに「なぜ怖い話を読みたくなるのか?」も話しました。
絶対に経験しないであろうと安心を感じるのか? 未知のことに興味を持ち、刺激的な体験を求めるのか? 危険を理性的に体験することで、生存を再認識できるのか……。

紹介された方はホラー好きで、映画館に一人でホラー映画を見に行くこともあるとのことですが、やはり小説の方が映画よりも怖いとのことです。(ただし、映画館の音響は強烈)

■この本をより楽しめる情報

この『東京伝説』には40作品ほどの短い物語が収録されており、どれも本当のような話で怖くても少しづつ読み進めていくことができます。

紹介を聞いた感覚では「都市伝説」好きの人も楽しめるのではないかと思いました。


さよなら神様 / 麻耶 雄嵩(文春文庫)

■斬新かつ本格ミステリを読みたいあなたにおすすめ1冊

「犯人は○○だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の捜査に乗り出すが…。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!第15回本格ミステリ大賞受賞。

引用元:「BOOK」データベースより

興味深い質問

「麻耶 雄嵩さんがギリギリセーフ?」

本格ミステリ小説読者の間では、麻耶 雄嵩さん以前の世代と以降の世代で、その作風やミステリのお作法の許容範囲に境界線が引かれる議論もあるそうです。

謎解きやトリック、推理劇の公平性がその水準にあるのかどうか? そういったところなのでしょうか、難しい線引きがありそうです。

■参加者が盛り上がったところ

「神様のネタバレ」

『さようなら神様』は上記のあらすじにもあるように「犯人は〇〇だよ」というネタバレから始まります。いくつかの独立した短編ですが、決まったキャラクターが登場します。

そして、絶対的な存在である神様のネタバレが各話の冒頭で明言されるのは斬新! という話題で盛り上がりました。どうのように話が展開していき、犯人につながるのか? この過程がとても興味深いです。

「清涼院流水」

話は本筋からそれますが、本格ミステリの流れから、ミステリ作家について話題になりました。そこで、清涼院流水さんの名前が出ました。清涼院流水さんをリアルに知っている人に会ったのは初めて! と意気投合がおきました。

■この本をより楽しめる情報

本作で第15回本格ミステリ大賞を受賞しています。

また麻耶雄嵩さんは、大学の推理小説研究会で綾辻行人さんと知り合いだったこともあり、筋金入りのミステリ作家です。紹介された方も、麻耶雄嵩さんの小説を読んでミステリ小説の虜になり、その方がオススメする『さよなら神様』は読んで損はありません。


炎の爪痕 / アン・クリーヴス (創元推理文庫)

■複雑な人間関係が生み出すミステリ小説を読みたいあなたにおすすめの1冊

同じ納屋で相次ぎ見つかった二つの死体をめぐる
ペレス警部の推理、そして人生の決断――
極上の現代英国本格ミステリ

ペレス警部の自宅を訪れたのは、シェトランド本島に一家で移住してきたヘレナ。彼女はまえの持ち主が納屋で自殺して以降、何者かが家に侵入して謎めいた紙片を残していくことに悩まされていた。その納屋で、今度は近所の家の子守りが死体で見つかり、ペレスが捜査担当者となるのだが──

引用元:版元ドットコム

興味深い質問

「大きな仕掛けがないミステリでも面白いのですか?」
「暗い、重たい、息苦しい物語です。しかし……」

この小説には特に大掛かりなトリックはないようですが、登場人物たちの複雑な人間関係に魅了され、物語に引き込まれることで楽しめます。ネタバレになる可能性もありますが、読み応えはあると思います。

■参加者が盛り上がったところ

「視点人物の移り変わり」

物語が進行するたびに様々なキャラクターの視点が切り替わります。それによって、読者は都度その人物の感情に共感したり、感情移入したりします。しかしながら、この小説はミステリ小説であるため、死という重いテーマが物語の中心に存在します。

感情移入することで、死が訪れたときの感情の落差もあり、そこがこの小説の真髄であるとも言えます。

■この本をより楽しめる情報

CWA最優秀長編賞を受賞した『大鴉の啼く冬』から始まった最終作が『炎の爪痕』です。全4作プラス4作の合計8作のシリーズ最終巻です。

紹介された方はこのシリーズすべて読み、人間関係の緻密さを称賛していました。


犬の心臓 / ミハイル・ブルガーコフ (河出書房新社)

■『アルジャーノンに花束を』が好きなあなたにおすすめのブラックな1冊

ソ連邦成立直後のモスクワ。急死した男の脳下垂体を移植された野良犬シャリクが人間化し、ブルジョワたちを震え上がらせる。奇想と強烈な諷刺に満ちた、20世紀最大のロシア語作家の代表作。

引用元:河出書房新社

興味深い質問

「以前豚の心臓が人間に移植されたニュースを覚えていますか?」

2022年に世界初、豚の心臓を移植された男性がその2ヶ月後に亡くなったというニュースがありました。その前には人の遺伝子は猿の脳に移植したニュースもあり、冒頭からこの質問が投げかけられました。

■参加者が盛り上がったところ

「『アルジャーノンに花束を』のブラック版です」

あまり時間がなかったので、簡単に概要を説明したあとにイメージがつきやすいようにこの例えを出しました。
ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を読んだことがある参加者からは腑に落ちたような印象を受けました。

■この本をより楽しめる情報

当時のロシアで発禁書となった本作。体制批判とも捉えれ、過激な内容のなかにもユーモアがあります。SFやホラー要素もある作品です。


【まとめ】

今回は、各紹介者の小説がとても話題になり、いつも以上に時間をかけて紹介しました。参加者の中には、幅広くエンターテイメント小説を読んでいる方々が多く、それぞれが独自の視点から話題を展開しました。

ジャンルを絞ることで、共通する点が増え、様々な発展を楽しむことができました。

次回も同じまたSF・ホラー・ミステリー小説のジャンルをまとめて開催しようと思います。


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