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今回は第4回目の開催となりました海外小説(翻訳本)に限定した読書会で紹介されました本です。(2023年3月11日)

『あなたならどうしますか?』 著者:シャ−ロット・アームストロング 

冒頭からすぐ面白い、状況・設定が秀逸な短編集を読みたいあなたにおすすめの1冊です。

著者である「シャーロット・アームストロング」の名前を聞いたことがある人はいるのではないでしょうか。1900年代の中頃から活躍したアメリカの女流作家さんです。主にミステリーやサスペンス系の小説を書かれていて、この本は短編集ですがほかに長編もあるようです。

色褪せない物語?

本作は70年ほど前に書かれた作品があるにもかかわらず、紹介された方はほとんど古さを感じなかったようです。それは、シャーロット・アームストロングの作品が、時代を超えて魅力的であることが証明されています。

とにかく導入部から引き込まれる緻密な状況設定。興味を持ち、物語の世界観に入っていきやすいのでしょう。海外の小説は日本とは異なる空気感があるので、その分古さを感じさせないということもあったようです。

加えて、現代にも通じる普遍的なテーマや人間の心理描写が上手く描かれているのでしょう。シャーロット・アームストロングの作品は今後もミステリーやサスペンス好きの読者に愛され続けるはずです。

【あらすじ】

どうしてこんな物語を思いつくのか見当もつかない。そんな小説はお好きか。本書は、絶妙の発端から異色の物語が展開する表題作のほか、間然するところのないヒッチコックふうサスペンス「笑っている場合ではない」、残酷な結末が強烈な「ミス・マーフィ」、「敵」以下、謎解きの趣向が潜むラッセル弁護士物三編など、名手の繰り出すあの手この手が驚きを誘う、珠玉の短編集。

(引用元:「BOOK」データベース)より

『敵』、『笑っている場合ではない』

紹介された方は、表題作以外にもこの2作を推していました。引用のあらすじにも載っているぐらいにこの2作とも優れた短編であることがわかります。

「敵」大人vs子供の構図で展開されるこの短いストーリー。大人と子供という対照的なキャラクターが心理的な戦いをしながら衝突する? もちろん一筋縄では終わらないのでしょう。

「笑っている場合ではない」ある場面を目撃し、その状況証拠だけで判断し、思い込むさま。微妙な感情の変化、読み応えありです。

「同年代の女流作家にロスマクの奥さん、マーガレット・ミラーがいます」

著者であるシャーロット・アームストロングのほかに活躍した女流作家であるマーガレット・ミラーの話題になりました。彼女の夫は、アメリカのハードボイルド作家でお馴染みのロス・マクドナルドということを知って驚きました。

ロス・マクドナルドの本名はケネス・ミラー、そうだったんですね。
そういえばロス・マクドナルドの小説に登場する探偵リュウ・アーチャーについて、村上春樹氏との逸話があったので、その話題にもなりました。

「彼はロス・マクドナルドの探偵小説が大好きで[注 2]、その名探偵リュウ・アーチャーのファンなので、将来小説家になつたら、ぜひ村上龍といふ筆名で書かうと思つてゐた。ところが先に村上龍氏が小説家として登場してしまつたので、村上春樹でゆくしかなくなつて非常に残念だ、といふ話だった。受賞の挨拶でこのくらゐ人を喰つた話ができる新人は、警戒すべきである」

引用元:(wikipedia、『挨拶はむづかしい』丸谷才一) より

「読むキッカケは、漫画のサブタイトルです」

紹介された方がなぜ『あなたならどうしますか?』を読もうと思った経緯を話してくれました。
『虚構推理』という小説を書いている小説家・漫画原作者の城平京氏の漫画にサブタイトルとして『あなたならどうしますか?』が使われていたようです。

色んな出会いがあって海外の小説であっても興味を持って読んでみると面白い、小説の内容だけではなく、作家や作品の話題でも盛り上がりました。

その他に紹介された本はこちら

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