ミステリー・ホラー・SF小説読書会『祭火小夜の後悔』/ 秋竹 サラダ(2023年2月23日)
ホラーも好き、ミステリーも好きなあなたにおすすめの1冊です。
ミステリー&ホラー小説といえば、年始に開催した『2022年ベスト本』読書会で紹介された新名智さんの『虚魚』を思い出しました。
『祭火小夜の後悔』は第25回日本ホラー小説大賞と読者賞をダブル受賞しています。
また、帯には宮部みゆき氏も絶賛のコメントと、ホラー界にニューヒロイン誕生と、読書欲をかき立てられます。
ホラーとミステリーの相性
ミステリー小説では殺人や強盗、誘拐に詐欺だったり犯罪行為が発生することが多々あります。一方のホラー小説では、不気味な出来事が起こります。これらが陰鬱で暗い雰囲気を物語全体に漂わせるところも似ています。
読者が予想もできない不可解な展開にスリルと緊張感が高まり、事件の真相はそれぞれの意外な人物の犯行だったり、悪霊や物の怪の類だったりととにかく不安を抱えながらでも読みたくなります。
【あらすじ】
毎晩夢に現れ、少しずつ近づいてくる巨大な虫。この虫に憑かれ眠れなくなっていた男子高校生の浅井は、見知らぬ女子生徒の祭火から解決法を教えられる。幼い頃に「しげとら」と取引し、その取り立てに怯える糸川葵もまた、同級生の祭火に、ある言葉をかけられて――怪異に直面した人の前に現れ、そっと助言をくれる少女・祭火小夜。彼女の抱える誰にも言えない秘密とは? ーー
(引用元:版元ドットコム)より
「キャラ小説ですか?」
装丁の少女が祭火小夜さん、この物語の主人公であることは明白です。この少女が登場するシーンが特に盛り上がる場面と思いましたが、そうでもないようです。
「それとも特殊能力を持っているのでしょうか?」
「祭火小夜はたしかに登場します……。」
それほど自己主張の強さも感じられません。キャラクターの過去に何があったのか、恐怖や危険に直面した経験をもとに事件を解き明かしていくのでしょうか。ひとつ言えるのは彼女に現実離れした超能力はないということです。
「怪異は怪異なりのルールがある?」
この小説、忘れてはいけないのがホラー小説でありながら、ミステリー仕立てになっています。
怪異がなぜ事件を起こすのか? そこには道理にかなった事象があり、理詰めで突き付けていけば解決できるミステリーの要素があります。
具体的なことは、本編を読んでのお楽しみということでした。
『黒猫を飼い始めた』
紹介された方は『祭火小夜の後悔』を読んでからしばらくの間、著者である秋竹 サラダさんの本を目にする機会がなかったそうです。
忘れたころに本屋さんで『黒猫を飼い始めた』というアンソロジーで秋竹サラダさんを見つけました。この本は文字通り、黒猫を飼い始めてみたーーの書き出しで始まるショート・ショート集です。
それにしてもこの書き出し、すでに面白いです。
ホラーとミステリーのハイブリット小説にそれほど意識をしていなかったのですが、この紹介を聞いて今後とも注目していきたいです。