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今回、2023年3月24日(金)に開催された読書会で紹介された本はこちらです。

『彼女の知らない空』 著者:早瀬 耕 出版社:小学館文庫

組織に身をおくすべての人に読んでほしい1冊

紹介してくださった方は、この本や著者を広めるために時間のない平日にもかかわらず今回のフリージャンル読書会に参加してくれました。

私も含めてほかの参加者誰ひとり、著者である早瀬耕さんを知りませんでした。紹介された方も他の読書会で早瀬耕さんを知っている人に出会ったことがないらしいです。

早瀬耕さんの作品がどのジャンルに該当するのか、わからなかったらしく、たまたま今回はフリージャンルの読書会ということで持参していただきました。

「デビュー作から20年以上の時を経て出版された2作目」

読者にとって、20年以上の歳月をかけて2作目を出した早瀬さんの作品には、長年彼を待ち望んでいたファンから強い関心が寄せられたと思われます。作品には、サラリーマン時代に培われた人生経験などが反映されている可能性があり、その点も興味深いでしょう。

2作目の『未必のマクベス』は、第17回大藪晴彦賞の候補作になり、ハードボイルドな作風を持っていると思われます。今回紹介されたのは、4作目となる『彼女の知らない空』です。

タイトルからは、恋愛小説や少し切ない物語を連想するかもしれませんが、実際にどのような内容なのかが気になりました。そこで、『彼女の知らない空』の紹介が始まりました。

【あらすじ】

ぼくは、自分の正義を貫くことができるのか

憲法九条が改正され、自衛隊に交戦権が与えられて初めての冬。航空自衛隊佐官のぼくは、千歳基地に配属され、妻の智恵子と官舎で暮らしている。しかし、智恵子は全く知らない。ぼくが、一万二千キロ彼方のQ国の無人軍用機を遠隔操縦し、反政府組織を攻撃する任務に就いていることを。トリガーを引いたら、ぼくは自衛隊史で初めての殺人者になる。それでも智恵子は、いつものように優しい声で「おかえりなさい」と言ってくれるだろうか――

(引用元:版元ドットコム)より

「短編集ですけど、各話に共通するテーマがあります」

紹介していただいたのは、表題作の『彼女の知らない空』です。
物語の主人公が自衛隊であることから、個人的な心情や葛藤が描かれていそうです。また、現代における有事のあり方に対する姿勢や考え方にも注目しました。

主人公の妻がどのように彼を受け入れるのか、また彼女自身がどのように考えるのかも興味深いと思われます。この人間ドラマ的な要素は、多くの読者に共感を呼び起こすことのではないでしょうか。

あらゆる組織体系には、「役割としての自分」と「個人の感情」との間に生じる歪みが存在します。
ビジネスの世界では、成果を出すことが求められるために個人の感情を抑制しなければならない場面も多くあります。

このあたりの描写にも注目したいところです。

興味のある方は、ぜひとも読んでほしい作家さんです。

実際にページをぱらぱらと目を通しました。早瀬耕さんの小説は文体もしっかりしていて、読者をリズム感よくすぐに引き込まれそうです。
物語の中で描かれる人々の心情や葛藤には、誰しも共感する部分があるでしょう。

多くの作品が小学館や早川書房から出版されており、興味のある方はぜひ手に取ってみてほしいです。

私自身も今回初めて知って、その紹介に胸を打たれたので、いつか読んでみようと積読リストに入れました。
早瀬耕さんの作品を手に取り、その世界観とメッセージを感じ取っていただけると嬉しいです。

その他に紹介された本はこちら

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