SF・ミステリー・ホラー小説の読書会を開催しました / (2023年3月21日)
読書会 2023年3月21日
今回は第2回目となる『SF・ミステリー・ホラー小説』の読書会です。多くの方々に参加いただきました。SF・ミステリー・ホラーといえば、起伏の激しいストーリーや驚愕の展開、また恐怖や緊張感など、興味をそそる要素がたくさんあります。
それでは、早速今回の読書会で取り上げた作品について、紹介していきたいと思います。
爆弾 / 呉 勝浩
■取調室の化かし合い、駆け引きが面白い1冊
東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
引用元:(版元ドットコム)より
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
■興味深い質問
「爆弾は全部で何発爆発する?」
「それはちょっと……」
■参加者が盛り上がったところ
「”スズキタゴサク”というふざけたネーミング」
『爆弾』の主要人物である取調べを受けるとぼけた見た目の中年男の名前が”スズキタゴサク”です。名前までフザけています。
■この本をより楽しめる情報
今まさに旬の話題作。TwitterやInstagramなどのSNSでよく見かけるこの作品。『このミステリーがすごい! 2023年版』や『ミステリが読みたい! 2023年版』で1位の2冠を達成。
■この小説の詳細はこちら
ゴリラ裁判の日 / 須藤 古都離
■異色のリーガル小説を読みたいあなたにおすすめの一冊
カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。
引用:「版元ドットコム」より
■興味深い質問
「誰に感情移入すればいいんですか?」
■参加者が盛り上がったところ
「ゴリラが動物の中で一番知能が高い?」
紹介された方は読んでいくうちにほとんどゴリラのヴィジュアルをした人間のような感覚に陥ったようです。手話もできます。
■この本をより楽しめる情報
面白ければなんでもありを掲げるエンターテインメント性の高い『メフィスト賞』の受賞作です。タイトルを一見すると、バカミスのように思えるこの作品。じつは……。
■この記事の詳細はこちら
黒い家 / 貴志 祐介
■文句なく怖い、恐ろしいホラーを読みたいあなたにおすすめの1冊
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。――
引用元:「BOOK」データベースより
■興味深い質問
「そんなにお金がほしいんですか?」
■参加者が盛り上がったところ
「もうネタバレしますね」
怖すぎてもう読まない、という参加者のために満場一致でネタバレありの紹介となりました。
紹介された方の落語のような語り口で、一気に物語の全容をほぼ網羅して全員が聞き入りました。
■この本をより楽しめる情報
第4回『日本ホラー小説大賞』の受賞作です。読んだことがなくても知っているという人は多いのではないでしょうか。映画化もされていて、大女優”大竹しのぶ”さんの演技も光ります。
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タイム・シップ / スティーヴン・バクスター
■ウェルズの『タイム・マシン』を読んだなら絶対におすすめの1冊
1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ――
引用元:版元ドットコム
■興味深い質問
「えっ、太陽が球殻に覆われているんですか?」
■参加者が盛り上がったところ
タイムスリップ? タイムリープ?
参加者の多くはこの違いがどういうものなのかわからなかったので、紹介された方に聞きました。
タイムリープは繰り返すことができる能力? タイムスリップは偶発的な時間移動? なのでしょうか。
■この本をより楽しめる情報
世界的にも超有名なH・G・ウエルズの名作である『タイム・マシン』。その公式続編として書かれた本書。『英国SF協会賞』『フィリップ・K・ディック賞』『星雲賞』といった各SF賞を総なめ。
■この記事の詳細はこちら
闇の左手 / アーシュラ・K・ル・グィン
■ジェンダーの境界線を思考したいあなたにおすすめの1冊
両性具有人の惑星、雪と氷に閉ざされたゲセンとの外交関係を結ぶべく派遣されたゲンリー・アイは、理解を絶する住民の心理、風俗、習慣等様々な困難にぶつかる。やがて彼は奇怪な陰謀の渦中へと……エキゾチックで豊かなイメージを秀抜なストーリイテリングで展開する傑作長篇
引用元:「Hayakawa Online」より
■興味深い質問
「普段小説を読んでいると無意識に登場人物が男か、女かのどちらであるか判別していませんか?」
■参加者が盛り上がったところ
「SFは設定が難しい」
創造された架空の世界観(惑星)で物語が展開するため、その設定や背景に関する説明が非常に重要です。それと同時に時間がないと上手く伝えることができず、説明が難しかったです。
■この本をより楽しめる情報
『ゲド戦記』作者であり、SF界の女王とも知られるアーシュラ・K・ル・グィンを代表する作品です。今まさに見直されているジェンダーやLGBTQをテーマとした物語。
【まとめ】
今回の読書会では、様々なジャンルから面白い作品が集まりました。ミステリーでは、重くて暗いけれどもひりつくような心理戦。ホラーでは、恐怖心を煽る一級品の名作。そして、SFでは、未来の世界を描き、深いテーマの作品が紹介されました。
ただ肌感覚として、SFとホラー・ミステリーは分けた方がいいような気もしましたので、次回以降検討していきます。