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2023年3月21日(火)に「SF・ミステリー・ホラー小説」の読書会を開催しました。その中で紹介されたSF小説です。

『タイム・シップ』 著者:スティーヴン・バクスター 出版社:ハヤカワ文庫

SF小説の名作『タイム・マシン』(ウェルズ)を読んだ人には絶対におすすめの1冊

普段SF小説を読まない人でも「タイム・マシン」という言葉は耳にしたことがあるはずです。細かいことはわからなくても、タイム・マシンの概念はなんとなく想像できるのではないでしょうか。

小説『タイム・マシン』はSFの巨人ともいわれるイギリスの小説家であるH・G・ウェルズが時間旅行をテーマに執筆したSF小説の名作です。タイムトラベルの概念について考えるきっかけや、未来や宇宙について想像する楽しさを世に広めたのではないでしょうか。

「その公式的な続編です」

そして今回の読書会で紹介された『タイム・シップ』はH・G・ウェルズの遺族が『タイム・マシン』の続編として正式に了承した作品です。
ということで、元祖『タイム・マシン』の世界観を壊さず、質も保ちつつ書かれたことがわかります。H・G・ウェルズファンにはたまらない1冊であることは間違いありません。

継いだスティーブン・バクスターも実力のあるSF作家でありながら、H・G・ウェルズへの敬意を持っています。

【あらすじ】

1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。――

(引用元:版元ドットコム)より

「タイム・スリップ? タイム・リープ? の違いは?」

紹介された方以外の参加者は私も含めてそこまでSF小説に明るくありません。そもそもタイム・トラベルの概念やさらに細分化された理論を理解していなかったので、上の質問が飛び出しました。

例えば、タイム・トラベルをするためには、異なる時空間に物質を転送したり、量子力学に基づいた理論、時間を歪めることで過去や未来に移動する概念も存在します。ではタイム・スリップとタイム・リープの違いはなんでしょうか。紹介された方に聞いてみました。

タイムリープは、個人が時間を飛び越えて同じ瞬間を繰り返す能力。ある特定の人間が、ある瞬間に戻り、同じ出来事を何度も繰り返すことができるようなものではないでしょうか?

一方、タイムスリップは、偶発的な時間移動。本来いるはずの時空間とは異なる時空間に飛ばされるというものではなでしょうか?

うまく説明できません。詳細やニュアンスは明確につかめていませんが、だいたいこんな感じではないでしょうか。

「太陽が球殻に覆われています」

「きゅうかく」ってどういう漢字ですか? 
『タイム・シップ』の小説を語るときにその設定をまず話してくれました。
球殻というのは、太陽を取り囲む巨大な殻です。この球殻が太陽を覆っていて表面積は、凄まじい大きさで、太陽から放出されるエネルギーを球殻に取り込んでいます。

球殻には、ちゃんと生物が生活を営むことのできる世界(社会)が存在しています……。

設定だけでも口頭で聞くと想像するのが容易ではありません。この設定やスケールの大きさ、そしてところどころに見られるメタ的な要素がこの『タイム・シップ』の魅力だと紹介された方はいいます。

数々の受賞歴

この『タイム・シップ』は続編にもかかわらず、数々の権威あるSF小説の賞を受賞しています。
『英国SF協会賞』『フィリップ・K・ディック賞』『ジョン・W・キャンベル記念賞』『クルト・ラスヴィッツ賞』に『星雲賞受賞』

面白さは保証されているこの『タイム・シップ』いずれ読んでみたい作品でした。

その他に紹介された本はこちら

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