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2023年3月11日の読書会


今回で第4回目となる『海外小説』限定の読書会です。
国内の小説と比較するとあまり読まれていませんが、海外小説には海外特有の魅力があります。異なる文化や背景を持った登場人物たちがつむいでいくストーリー……。翻訳本には翻訳本の魅力があり、慣れてしまえばそれほど気にせずに物語を楽しめます。

ということで、今回も素敵な本が紹介されました。


あなたならどうしますか? / シャ−ロット・ア−ムストロング

■とにかく状況、設定が面白い短編集をよみたいあなたにおすすめの1冊

どうしてこんな物語を思いつくのか見当もつかない。そんな小説はお好きか。本書は、絶妙の発端から異色の物語が展開する表題作のほか、間然するところのないヒッチコックふうサスペンス「笑っている場合ではない」、残酷な結末が強烈な「ミス・マーフィ」、「敵」以下、謎解きの趣向が潜むラッセル弁護士物三編など、名手の繰り出すあの手この手が驚きを誘う、珠玉の短編集。

引用元:「BOOK」データベースより

■興味深い質問

「『あなたらならどうしますか?』が漫画のサブタイトルになっていたのですか?」

■参加者が盛り上がったところ

「マーガレット・ミラーはロス・マクドナルドの奥さんです」

著者のシャーロット・アームストロングが女流サスペンス作家ということもあり、他の女流作家の話や海外作家の話題になりました。

■この本をより楽しめる情報

1950年代に書かれた短編集ですが、そこまで古さを感じさせません。
紹介された方のおすすめは、表題作以外に『笑っている場合ではない』『敵』でした。

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ブルックリン・フォリーズ / ポール・オースター

■ほっこり、楽天的な気分になりたいあなたにおすすめの一冊

六十歳を前に、離婚して静かに人生の結末を迎えようとブルックリンに帰ってきた主人公ネイサン。わが身を振り返り「人間愚行の書」を書く事を思いついたが、街の古本屋で甥のトムと再会してから思いもかけない冒険と幸福な出来事が起こり始める。そして一人の女性と出会って……物語の名手がニューヨークに生きる人間の悲喜劇を温かくウィットに富んだ文章で描いた家族再生の物語。

 引用:「版元ドットコム」より

■興味深い質問

「どんなストーリーですか?」
「ストーリーというより、エピソードの積み重ねです」

■参加者が盛り上がったところ

「『ムーン・パレス』は途中で読むのをやめましたが、『ニューヨーク三部作』は読めました」
著者であるポール・オースターの作品から村上春樹氏の話題まで広がりました。

■この本をより楽しめる情報

本作中にでてくるフランツ・カフカの「人形をなくした少女」のエピソードは秀逸です。ほかにも前向きになれるエピソードの数々がたくさんあります。

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審判 / フランツ・カフカ

■一般的な物語に飽きて、新しい読書体験をしたいあなたにおすすめの1冊

Kについてはごく平凡なサラリーマンとしか説明のしようがない。なぜ裁判に巻きこまれることになったのか、何の裁判かも彼には全く訳がわからない。そして次第に彼はどうしようもない窮地に追いこまれてゆく。全体をおおう得体の知れない不安。カフカ(1883‐1924)はこの作品によって現代人の孤独と不安と絶望の形而上学を提示したものと言えよう。

引用元:「版元ドットコム」より

■興味深い質問

「『城』ですか? 似てます」

■参加者が盛り上がったところ

「どうして主人公こんなにモテるのかわかりません!」
最後まで明かされない、裏付けのない要素がたっぷりです。

■この本をより楽しめる情報

不条理文学の代表ともいわれるフランツ・カフカの未完の小説です。『城』『失踪者』そして『審判』と長編三部作のひとつです。

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供述によるとペレイラは…… / アントニオ・タブッキ

■不正や権力に立ち向かう人、そしてポルトガルを肌で感じたいあなたにおすすめの1冊

1938年夏、リスボン。ファシスト政権下、ひとりの新聞記者が、ある決意をかためた。鬼才タブッキが、困難な状況下において人間の生きる意味を根底から問いかけた完璧な小説。――

引用元:版元ドットコム

■興味深い質問

「ブリオッシュって知ってます?」
「知ってます。パンみたいな食べ物ですよね?」

■参加者が盛り上がったところ

「5,000円のオリーブオイル」

ヨーロッパで本当に美味しいオリーブオイルに出会った参加者。日本でもそれを味わいたいと思い、購入したのが「5,000円のオリーブオイル」でしたが、それでも本場の味には全く及ばないそうです。

■この本をより楽しめる情報

イタリア最高の文学賞ヴィアレッジョ賞受賞。著者の最高傑作ともいわれている本作です。
著者の持ち味である幻想的な作風とは一味ちがった”アントニオ・タブッキ”を堪能ください。


【まとめ】

今回は、海外小説限定ともありヨーロッパや、食文化についての話題にもなりました。各地域や国に特有の料理や食材、また時代背景などが深く掘り下げられ、読者の食の知識や興味を刺激する内容にも発展しました。
個人的には海外小説限定の読書会には思入れが強いので、これからも継続して開催していきたいと思います。


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