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2023年2月17日の読書会


今回はジャンルを限定せずに好きな本を紹介する読書会でした。
小説に限らず本であればなんでもOKということで、トピックやテーマにとらわれない自由な話題が話し合われることを期待していました。

その中から紹介してくださった本たちはこちらです。


トゥルー・ストーリーズ / ポール・オースター

■ユーモア溢れる不思議なエッセイを読みたいあなたにおすすめの一冊

ちょっとした偶然。人知を超えた暗合。ときに茫然とし、ときに立ち尽くしたその瞬間を人は容易に忘れるが、作家は忘れない。自らの体験を元に驚くべき偶然の連続を、しかし淡々と綴る名作「赤いノートブック」を始め、無名時代の貧乏生活を軽やかに描く「その日暮らし」、9.11直後のNYに捧げた「覚え書き」など、柔らかななにかも力強い声が聞こえる傑作エッセイ集ーー

 引用:版元ドットコム より

■興味深い質問

「野球すきですか?」
「はい、テレビで見たりしますよ。ちなみに阪神ファンです」

■参加者が盛り上がったところ

「暗くない貧困のエピソード」

紹介された方のポール・オースター氏に対するイメージは、天才的な文体や作風でありながらどこか”冷たさ”を感じているようでした。が、収録されているエピソードには、貧乏生活を明るく描いていて意外に感じたそうです。

■この本をより楽しめる情報

アメリカの小説家でポスト・モダンの担い手とも言われている著者のエッセイです。
しかも、日本独自編集ということでポール・オースター自身が要望した内容になっています。

■この記事の詳細はこちら


落ちこぼれ―茨木のり子詩集 (詩と歩こう) / 茨木のり子 / 水内 喜久雄 理倫社

■背中を押されたいあなたにおすすめの1冊

現代女性詩人のトップランナー、茨木のり子が人間を見つめ続ける詩を網羅。「わたしが一番きれいだったとき」「落ちこぼれ」ほか全33編。子どもから大人まで、すべての人に贈る現代詩集シリーズ。

引用元:「MARC」データベースより

■興味深い質問

「落ちこぼれと思ったことはありますか?」

キレのある質問でしたが、全然嫌味はなく「落ちこぼれ」は誰もが思ったことのあるような共通の感覚ではないでしょうか。

■参加者が盛り上がったところ

「波紋じゃないですよ」

紹介された方は『ジョジョの奇妙な冒険』の大ファンで、茨木のり子詩集を読んで心にポジティブな感情が広がったという表現で使いました。

■この本をより楽しめる情報

日本の女性詩人を代表する詩人の選詩集。
装丁がとても可愛くて味がある詩集です。『落ちこぼれ』というネガティブなタイトルからは想像もできないような優しくて力強い詩がたくさん収録されています。

■こちらの記事の詳細はこちら


鍵のかかった部屋 / ポール・オースター

■自分自身を見つめる不思議な物語を読みたいなあなにおすすめの1冊

「幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。不思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された妻ソフィーを愛するようになる。だがある日、「僕」のもとにファンショーから一通の手紙が届く――「優雅なる前衛」ーー

引用元:白水社

■興味深い質問

「読者自身が参加して余白を埋める小説ってすごくないですか?」

著者の小説は、書きすぎず読み手の想像力を持って情景や状況を思い浮かばせます。これは並の書き手がやると情報が不足してよくわからない物語になるはずです。

■参加者が盛り上がったところ

「わたしもオースターの作品を紹介します」

1冊目に紹介された『トゥルー・ストーリーズ』もポール・オースター氏で、また同じ作家の本だったのでこの偶然に驚きました。

■この本をより楽しめる情報

著者の代表作でもある「ニューヨーク三部作」の最終作品。ミステリー小説のような枠組みで構成された本作。前二作の『ガラスの街』『幽霊たち』と併せて読むと理解が深まります。


哲学思想史 問題の展開を中心として / 淡野 安太郎

■哲学の入門書におすすめの1冊

哲学を歴史として体系的に把握できる名著として紹介され続けてきた作品。
ギリシャ、中世、近世、現代哲学も、現代哲学も現象学からプラグマティズムに新実在論まで、、
なぜこのような思想は現れ、流行後になぜ消えたか?という問いを軸に学ぶことができる。

引用元:版元ドットコム

■興味深い質問

「哲学的な小説って何かありますか?」
「そうですね、読んだ中では村上春樹さんの小説が近いのかもしれません」
「例えば?」
『1Q84』です」

■参加者が盛り上がったところ

「難解な哲学用語がいくつも使われているでしょ?」

もちろん哲学用語は使われていますが、わかりやすいエピソードも語られています。本の中から「ビスケットと子供と犬」の話を紹介してくれました。わかりやすかったです。

■この本をより楽しめる情報

生の哲学の樹立者にして、ノーベル文学賞も受賞したベルクソン。
氏の研究でも知られる著者が遺した、通読できる哲学史の決定版!
「哲学を歴史として、体系的に見ていくには1960年代の教科書が一番いい」
佐藤優氏が復刊を熱望し続けてきた入門書、ついに甦る。

引用元:版元ドットコム


【まとめ】

今回は、ジャンルの境界線を消して制約の少ない読書会となりました。紹介された本も小説、エッセイ、詩、そして哲学の入門書と多様性に溢れるラインナップでいつもと違った雰囲気でした。

異なる趣味や視点を持つ参加者同士が、ひとつの本を紹介し合うのもフリージャンルの醍醐味だと感じました。

また今までにしたことのない読書会の開催をしたいと思います。


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