(2/23)ミステリー・ホラー・SF小説読書会で紹介された『悪霊館の殺人』 / 篠田秀幸
本格推理の王道小説を読みたい、そんなあなたにおすすめの1冊です。
著者の篠田秀幸さんは、神戸市役所に入庁後数年の勤務のち、教育職に転身しました。兵庫県にある県立高校で国語科の教員です。そしてミステリー作家。
教員としてのキャリアを積む中で、創作欲求を追求するようになったのでしょうか? 異なる分野でキャリアを積み重ねて書かれた小説に興味がわきます。
新本格派第二次世代?
「新本格派」と呼ばれる推理小説の王道的なスタイルは、日本のミステリー小説界において1980年後半に活躍した新進気鋭の作家たちです。彼らは「正統派ミステリー作家」と呼ばれ、謎解きが重視され、読者に対して挑戦的な問題を提示することも。
さらに「新本格派第二次世代」は、この「新本格派」の伝統を受け継いでいます。『悪霊館の殺人』の著者である篠田秀幸さんもこの「新本格派第二次世代」に入るのでは? という話題になりました。
【あらすじ】
平成五年七月下旬に始まり、ひと夏かけて不気味に進行した挙句、九月十四日の深夜、ある悲劇と共に突如として終結した「小此木家霊魂殺人事件」。白マスク男、密室殺人、降霊会、幻影の塔……次々と現れる謎に挑む、精神科医にして名探偵の弥生原公彦。複雑にして因縁からむ人間模様にひそむ遠大なる罠とは?「オーバー100マイルの剛球が現代本格の空虚な中心を射抜く」(大森望氏)本格ミステリー、渾身の書き下ろし、1300枚!に把握できる名著として紹介され続けてきた作品。
(引用元:角川春木事務所HP)より
「犯人(真相)が明らかになったときの探偵役がどういう態度をとるか?」
紹介された方にとってはこの探偵役の態度が重要で、そこに着目して好きか嫌いかに分けていました。この観点は目からウロコでした。普段ミステリー小説をそれほど読まない私にとっては全くない発想でした。
探偵役が冷静であれば、物語はスッキリとした終わりに向かっていくはずです。しかし、反対に探偵役が感情的に取り乱したり、強く動揺したりなってしまうと、物語は混沌とした結末になるのかもしれません。
犯人(真相)が明らかになったとき、この『悪霊館の殺人』に登場する探偵役がどういう態度にでたのか? それはネタバレになるので明かされませんでした。ネタバレになるほど物語に影響を与えていることです。
ミステリー小説を読みときの楽しみがひとつ増えました。
「後期クイーン問題?」
参加者の中に本格推理・ミステリー小説に詳しい方がいて、この話題になりました。
本格推理にみれらる「読者への挑戦状」のようなもの、メタ的要素を想定することで、推理の幅が広がっていくこともあります。
探偵の存在・捜査だけが全てではなく、作品の内外の構造に関わる問題。
「作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できないこと」
引用元:(wikipedia)より
「作中で探偵が神であるかの様に振るまい、登場人物の運命を決定することについての是非」
今回は、本格ミステリー小説の魅力や奥深さを感じることができました。考察を深めながら読み進めていくことをあまりせず、良い意味にで騙されるだけ騙されていました。たまには真相の予想もしていこうかと。