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2023年1月21日の読書会

読書会に初めて参加された方がいらっしゃいました。
読書会はなにやら”怪しい”雰囲気もあり、参加するには抵抗がある、と感じるのもわかります。実際に読書会で何をしているのか、何かの勧誘をされたりしないだろうか、といった不明瞭な部分が警戒心を高める要因のひとつなのかもしれません。

例えば、明確な課題図書があったり、ある程度ジャンルを絞ればその”怪しさ”も和らげるのではないでしょうか。という話をしながら始まりました「海外小説限定」の読書会です。

その中から紹介してくださった本たちはこちらです。

モモ / ミヒャエル・エンデ

■日々を忙しく過ごすあなたにおすすめの一冊

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。――

 引用:「BOOK」データベースより

■興味深い質問

「この小説っていつ書かれたのでしょうか?」
1973年に出版されています。『モモ』には古いイメージがあり、100年ぐらい前の作品だと思っていたので、意外と近代に書かれていたことに驚きました。

■参加者が盛り上がったところ

「空白恐怖症」
スケジュールが埋まっていないと不安になる症状のようです。
本作の主題でもある「時間」について話をしていたときに話題にあがりました。予定がなくて真っ白な手帳がいやだという感覚、わからなくもありません。

■この本をより楽しめる情報

ドイツ児童文学賞の受賞作。児童書としても名作ですが、実は日々を忙殺される現代の大人こそ楽しめる一冊。舞台演劇やミュージカルにもなっていて、いろんな角度から『モモ』を鑑賞することがきます。

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月と六ペンス / サマセット・モーム

■圧倒的な熱量、芸術好きにもたまらない1冊

あるパーティで出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは――。ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラーの新訳。

引用元:版元ドットコム

■興味深い質問

「タイトルの『六ペンス』って意味があるんですか?」

なぜ、三ペンスでもなく、四ペンスでもなく、”六ペンス”なのでしょうか? 読書会の中では答えが見つかりませんでした。(『月と六ペンス』というタイトルの意味合いについては巻末の解説でなんとなくわかりました)

■参加者が盛り上がったところ

「彼の人間性がクソなんです!」

これは主人公ストリックランドに抱いた印象です。そのじつ彼の振る舞いは、現代のコンプライアンスに反する言動のオンパレードなのです。ただ、この小説を読み終えたあとでは、ストリックランドに対してまた違った印象を持つことになったそうです。

■この本をより楽しめる情報

読書会でも紹介されることが多い名作中の名作です。個人的には読んだ人で「面白くなかった」という感想を聞いたことがありません。主人公は画家のポール・ゴーギャンがモデルだという話もあります。芸術好きな方にもおすすめの一冊です。

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トリック / エマヌエル・ベルクマン

■奇跡の物語を読みたいあなたにおすすめの1冊

少年は信じる、魔法の力を。70年の時を超えて甦る、極限下の奇跡――。プラハの貧しいラビの家からサーカス団に飛び込み、ナチス政権下を生き抜いた老マジシャンと、LAの裕福な家に育ち、両親の離別に思い悩む少年。壊れた愛を取り戻す魔法は、この家族に何をもたらすのか――。戦時下と現代、それぞれの艱難を越えて成長するユダヤ人少年の姿を温かな筆致で描く、17ヵ国語翻訳のデビュー長篇。

引用元:版元ドットコム

■興味深い質問

「ラストは予想がつきましたか?」
この話はベタな部分あり、予想外の展開あり。二つの物語の終着点は……。

■参加者が盛り上がったところ

「トリックとか、魔術とか好きなんです。いや、オカルトは信じていませんよ」
紹介された方はタイトルの『トリック』に引き寄せられて、この本を購入されたそうです。
購入の動機がとても紹介された方にマッチしていたので、納得です。

■この本をより楽しめる情報

主要な登場人物がユダヤ人であること、またラビというユダヤ教の指導者も登場したり、ユダヤ人についての理解が深まります。
帯に書かれた「生きていることは、それだけでひとつの祈りなんだ」って素敵な言葉ですね?


ペンギンの憂鬱 / アンドレイ・クルコフ

■孤独で不思議な物語とペンギン好きにおすすめの1冊

恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。

引用元:版元ドットコム

■興味深い質問

「皇帝ペンギンですよね? 私はキングペンギンが好きです!」
「ところで、家の中でペンギンを飼うことは可能なんですか?」
ロシアの気候では可能な気がしますが、わかりません。冷凍の魚を食べるしぐさ、壁際で佇む姿が容易に想像できてリアリティがあります。

■参加者が盛り上がったところ

「村上春樹さんの作品はお好きですか?」
アンドレイ・クルコフさんを語るうえで避けられない話題でした。というのも著者は”村上作品”を気に入っているらしく、その作風にも少し影響をうけているような印象でした。

ついでに村上春樹さんの作品や描写、そして”ハルキスト”についても話が飛び火して盛り上がりました。

■この本をより楽しめる情報

今もなお続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻。著者はロシアのレニングラード(現サンクト・ペテルブルグ)生まれです。ニュースではよく耳にするキエフやハリコフといった都市の名称も作中にでてくるので複雑な気分にもなり、関心もあります。

【まとめ】

いわずと知れたふたつの名作から、比較的最近の新潮クレスト・ブックスから2作。読書会初参加の方からベテランの方までお集まりいただきましたが、小説の話になれば話題はどんどん広がっていきました。
海外の翻訳本だけに、その土地柄や日本とは違った文化や習慣にも情緒がありました。

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