海外小説読書会で紹介された 『ライフ・アフター・ライフ』 / ケイト・アトキンソン (2022年12月11日)
「過去に戻って、人生をやり直したいと思ったことはありますか?」
この本を紹介されたとき、人生100年時代の戦略『LIFE SHIFT』的なイメージが浮かびました。
これってもしかして、小説ではなく人生やビジネスにおいて成功を掴むためのハウツー本?? なんて考えも過ります。
「ライフ」という言葉には、素知らぬフリができない力を持っています。
それに壮大な物語が展開されるのではないかという、期待も膨らみます。
紹介された方は、淡々とその全容を重要なネタバレをしないように語ってくれました。
【あらすじ】
アーシュラは臍の緒が首に巻きつき、産声もあげずに死亡した。しかし、もし死ななかったとしたら……。幾度も生まれ、様々な死を迎え、幾つもの別の生を生きる一人の女性。スペイン風邪で、溺れて、屋根から落ち、ロンドン大空襲で……、デジャヴュとは生き続けられなかった生のかすかな名残なのだろうか? 運命のすべてを受け入れる〈アモル・ファティ〉の考え方に正面から挑む、人生の分かれ道について考えさせられるコスタ賞受賞の傑作!
(引用元:版元ドットコム)
想像していたより途轍もなく奥行きのある物語。
「もし死ななかったとしたら……」「幾度も生まれ……」
死なずに何度も人生をやり直すタイムリープものか、いくつもの平行世界が展開するパラレルワールドなのか。
この物語をそんな既存の設定を並べて、型にはめ込もうとする自分の浅はかさを痛感させられました。
読書会でこの『ライフ・アフター・ライフ』を紹介された方は、私たちに問います。
「過去に戻って、人生をやり直したいと思ったことはありますか?」
軽率には答えを出すことができない、鋭い質問。
誰でもミス、過ちから繋がる後悔があるはずです。
やり直したいといえば、そうかもしれません。
「人間は忘れる生き物です」どなたかが言いました。
過去のある時点に戻って、やり直しができるとしたら。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなドラマチックに?
やり直したとして、また同じ人生を歩むには億劫すぎる……。
逡巡します。
おんなじ問題にまた直面し、そこに挑み、分かれ道を選択する。
「後悔はあるが、進んでいくしかない」そんな薄っぺらい言葉がこぼれました。
またこの本を紹介してくださった方は言います。
「小説を読む楽しみのひとつに、非日常の体験を味わうことがあります。この小説は何度も人生の分岐を繰り返し、疑似体験を与えてくれました」
いかがでしょうか。
物語の詳細はもちろんもっと複雑で、ストーリーに起伏があり、また感情を揺さぶるものだと思います。
読んでいなくても、紹介されただけでその魅力の一端を垣間見ることができました。
この本をテーブルに置いて横からみてみるとその存在感は圧倒的です。
厚みのある550ページ超のボリュームでその膨大な量の人生がそこに詰まっているのだと想像が掻き立てられます。
これからの人生にぜひとも読んでみたい一冊、積読することになりそうです。
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