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本の価値=値段、ではない

いきなりですが、あなたのお気に入りの本はなんでしょうか? おそらく読んだ時期やそのときの環境に影響しているかもしれません。いずれにせよ、本を読む人にとって特別な一冊があるはずです。もしかすると、一冊どころか特別な数十冊あるよという人もいるでしょう。

 私のお気に入りの本は、ふと立ち寄った古本屋で“百円”の値札が貼られていました。見つけときは衝撃を受けました。まさかあの本の価値が“百円”だなんて……。ちなみに当時は谷崎潤一郎にハマっていたので『痴人の愛』です。

ナオミの破天荒なキャラクターも、著者の流麗な文体も、起伏のあるストーリーも含めて“百円”だなんて! 信じられませんでした。

 しかし、よくよく考えてみれば多くの中古本価格が定価よりおおよそ下落するのはやむを得ないことです。

 とはいえ、自分にとってのお気に入りの本というのは、いつまで経っても色褪せないのも事実です。

 あたりまえですが、本は読んで初めてその価値が生まれます。けっして、市場で流通している価格や他人の評価がすべてではありません。読んでみて、後日なにかが引っかかるものが残っているのであれば、それはあなたにとって価値のある本だったということです。

良い読書体験は本の価値も高める

 読書体験にこそ本来の価値があるのだろうと、誰しもが当然にように認識しているはずですが、良い読書体験は容易には得られません。現代ではかなり誘惑が多くて、ゆっくりと本を読むなんてことができなくなってきています。

 昨今、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、社会ではリモートワークをして仕事とプライベートの境界線が薄れてきている人もいるでしょう。自宅で本を読むなんて……。

と。

 インターネット上には情報が溢れかえっていて、それを追っかけまわすのに必死かもしれません。

 読書をするにはそのときに気分や環境によって入り込めない場合があります。

そこで、たまには、読む場所を変えてみてはいかがでしょうか。

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